【主査】田村幸雄(東京工芸大学)
【活動期間】2018年4月~2020年3月(予定)
【背景】
世界の自然災害による経済的損失の70~80%は,ハリケーン,台風等の風水害に起因すると言われている。多くの場合,豪雨や高潮などの水災害と伴う複合災害である。火災,降雪,降雹などによる災害も強風との関連性が深い。そのような災害の多くは,構造設計のなされない木造住宅や低層鉄骨建物である。これらの被害を低減することは経済的損失の軽減だけではなく,安全・安心な地域作りには不可欠な課題である。
従来,建築物の耐風性の検討は,縮尺模型を用いた風洞実験や圧力チャンバー等を用いた部材試験(通常は漸増載荷)に基づいて行われてきた。しかし,それらの実験結果は,様々な仮定の上での結果にしか過ぎず,現象を必ずしも正しく反映したものとは言えない。精度よく現象を把握するためには,実スケールで外装材仕上材から構造骨組,基礎に至るまでの全体システムの性能を評価する以外にない。火災や降雨,降雪,降雹などについても同様である。したがって,実大スケールで現象を再現できる「実大ストームシミュレータ」の建設が強く望まれている。
このような背景の下,本研究会委員長(田村)が提案した「実大ストームシミュレータ・気象災害サイエンスパーク」の建設が,2014年日本学術会議において「速やかに実施するべき重点大型研究」として選定された。これを受けて,2014年から現在まで,実大ストームシミュレータ実現に向けた活動を行ってきた。
【研究会の目標】
上記の「実大ストームシミュレータ」計画を実行に移すには、施設の設計を具体化するとともに、要素技術に関する検討が必要不可欠である。
【研究会の実施内容】
本研究会では,初年度となる平成30年度には下記の項目について研究を実施する。
(1)国内外(特に海外)における大型実験施設の設置および運営状況に関する情報取集
(2)国内外(特に海外)における大型実験施設の要素技術に関する情報収集
(3)上記実大ストームシミュレータに必要な要素技術の明確化
【研究会の開催】
・活動方法:できるだけ,参画者が各種委員会で一堂に会する機会に併せて研究会を開催する。(例えば,風工学会年次大会,風工学シンポジウム開催時など)また,通常時はML等を用いて情報交換を行う。
・開催場所:参画者が参集容易な東京とする。
【委員構成】
田村幸雄(東京工芸大学)[主査]
西嶋一欽(京都大学防災研究所)[幹事]
植松 康(東北大学)
持田 灯(東北大学)
奥田泰雄(国土技術総合研究所)
酒井直樹(防災科学技術研究所)
友清衣利子(九州大学)
高橋 徹(千葉大学)
提 拓哉(北方建築総合研究所)
松井正宏(東京工芸大学)
野田 稔(高知大学)
栗田 剛(東急建設)
PHAM VAN PHUC(清水建設)
竹内 崇(神戸大学)
小林 文明(防衛大学校)
吉田 昭仁(東京工芸大学)
松宮 央登(電力中央研究所)