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風工学とは

建築物の耐風設計

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新宿新都心風洞実験用模型
[東京工芸大学提供]

建築物の耐風設計では,建築基準法や建築物荷重指針もしくは風洞実験や数値流体計算によって求めた外圧・風力係数をもとに、設計風速に応じた風荷重が算定されます。風荷重には,柱,梁などの主要構造部材の設計に用いられる構造骨組用風荷重や,ガラスなどの外装仕上げ材等の設計に用いられる外装材用風荷重があります。風洞実験や数値流体計算では、風洞実験用模型のように対象の建築物だけでなく周辺の建築物も広い範囲で再現するため、実際に即した風荷重評価が可能になります。 

 

橋梁の耐風設計

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明石海峡大橋の風洞実験(1991)
[本州四国高速道路株式会社提供]

橋梁の設計においても風の作用を無視することはできません。特に、明石海峡大橋に代表されるような長大橋では、静的作用である風荷重の影響のみならず、動的作用である空力振動現象を照査する必要があります。英国テイ橋の落橋事故(1879年)や、米国旧タコマ橋の崩落事故(1940年)を繰り返さぬよう、橋桁・塔・吊り材等の空力特性に関する研究が、風洞実験・数値流体解析(CFD)・現地観測等によって、今日に至るまで数多く実施されています。

 

架空送電線の耐風設計

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ヘリコプター延線工事中の
100万V設計北栃木幹線
[東京電力株式会社提供]

我が国の送電用鉄塔は地形の起伏の大きい山間部に多く立地しています。山間部では地形の起伏に起因する強風が発生するため、送電用鉄塔の耐風設計はこうした地域ごとの地理的な特徴を配慮したうえで実施することが重要です。また、架空送電線は強風時に揺れや振動が発生し、電線同士が接近しすぎてしまうと絶縁破壊(フラッシュオーバ)が発生して送電が不能になってしまうことがあるため、風の影響を受けにくくするための工夫が必要となります。 

 

流れの数値シミュレーション

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接近流の乱れと3次元角柱の
後流渦との干渉
[東京工業大学提供]

風は空気の流れで、空気は流体です。ナビエ・ストークス方程式と呼ばれる流体の運動方程式などに基づき、コンピュータシミュレーションにより近似的に流れを予測する数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)が、風工学にも広く応用されています。CFDにより得られる3次元的な流れの情報は、実験や観測を補い、現象に対する理解の一助となるだけでなく、建築物や橋梁等へ作用する風の荷重、都市の歩行者空間の風環境の予測など、実務でも活用されはじめています。 

 

大気汚染・拡散・通風・換気

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プラントからの高温排ガスの
拡散性状の可視化
[東京大学生産技術研究所提供]

風は物質や熱を運びます。例えば、工場などから大気中に放出された汚染物質や自動車からの排ガスなどの大気汚染の問題、空調機器などから出る熱の拡散、室内で発生した汚染物質・熱・臭気などを屋外に出し、室内に新鮮な外気を取り込むことで室内環境を維持する換気、屋外の風を室内に取り込み、体感温度を下げる通風など、どれも風が密接に関わっています。これら大気汚染・拡散・換気・通風も風工学の研究課題です。 

 

風災害調査

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台風9807号による
室生寺五重塔の被害(1998)
[京都大学提供]

強風災害が発生すると、気象、建築、交通等、風工学に関わる専門家が現地調査 を行います。被災原因を分析するためのデータを収集することが、現地調査の主 な目的です。現地では、調査対象の被災状況を把握します。また、被災当時の目 撃者、被災者や自治体に対する聞き取り調査によって、調査結果を補完します。 収集した現地調査結果に加え、気象データ、撮影動画、報道による情報等も解析 し、被災当時の状況を明らかにします。調査結果は論文や報告書等にまとめら れ、将来の強風災害対策に活かされます。

 

たつ巻

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千歳竜巻(1988)
[防衛大学校提供]

たつ巻は、強く発達した積乱雲に伴う上昇気流によって発生し、極めて短時間のうちに発生、発達し、数十~数百メートルの幅、数キロ~数十キロメートルに渡って猛烈な突風を吹かせ、地物に甚大な被害をもたらします。直接観測することが難しいため、被害の状態から風速を推定して、たつ巻の強さや規模を推定します。そのために用いられる日本版改良藤田スケール(JEF)の精度向上に取り組むほか、実験や数値流体解析によって、たつ巻の流れの構造とその中で発生する風荷重の特性、飛散物の飛行特性などを調べ、たつ巻などの突風に対する重要構造物等の安全性を確保します。 

 

風力エネルギー

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八丈島風力発電所
[東京電力株式会社提供]

風力エネルギーは電源構成の一翼を担うことを期待され,世界各国で陸上・洋上に展開されています。発電効率の向上のための風車の構造や制御のR&D,風車を強風から守るための耐風設計,風の賦存量や地形・地域特性といった資源としての能力や価値の評価・予測など,研究開発の領域は多岐にわたります。これらの研究開発は風洞実験,数値シミュレーション,モニタリングや統計分析を用いて実施され,活発な議論が行われています。 

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風工学用語データベース

1989年の風工学会誌第40号に掲載された風用語集が作成されてから20年以上が経過しており,その間に新たな解析手法, 計測手法などが用いられるようになっている。

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